サイト・サーベイのベスト・プラクティス – ホワイトペーパー | フルーク・ネットワークス
ホワイトペーパー

サイト・サーベイのベスト・プラクティス

はじめに

サーベイの実施理由

サイト・サーベイの最善のやり方を説明する前に、そもそもなぜサイト・サーベイを実施すべきかについて理解しておくことが重要です。基本的に、サイト・サーベイは、サイトにおける電波(RF)の実験データを収集するために行います。このデータをもとに、無線ネットワークの受信範囲やパフォーマンスの確実な分析を行えます。サーベイを展開前または展開後に実施しようが、目的は同じです。電波状況を把握するために使います。

サーベイより得られたデータを活用することで、発見されたネットワークの不備に対してすぐに実施可能な対策を取ったり、ネットワークが期待通りに最高のパフォーマンスを発揮しているかどうか知ることができます。サイト・サーベイには、計画(プラニング)には無い重要な利点があります。それは、現地で測定されたデータです。計画は、AP の再配置の繰り返しを最小限に抑えるのに役立ちますが、計画の結果がうまくいったかどうか、設置が計画通りに行われたかどうか、そしてネットワーク・ユーザーが安定して無線に接続できるかどうか、唯一サーベイを行うことで確実に知ることができます。

サーベイの実施期間

サイト・サーベイは、いつでも実施できますが、サーベイの目標と価値は、それをいつ実施するかによって異なります。サイト・サーベイを実施する期間は、一般的に 3 つあります。それは、展開前、展開後、そして運用中です。

A.

展開前

展開前のサーベイは、展開前にサイトの特徴を把握するために行います。置き換え/アップグレードされる既存ネットワークが存在する場合、既存ネットワークの現在のサーベイ・データを収集すれば、新しいネットワーク計画で改善されるパフォーマンスについて理解するのに役立ちます。ネットワークが存在しない場合、サイト・サーベイを実施することで、サイト(ならびに近くにあるネットワーク)の電波状況を捉え、今後の展開および計画サイクルにおいて対処しなければならない問題を把握できます。

展開前サーベイの方法で、特筆すべきものがあります。それは、AP-on-a-Stick です。

 

• 

AP-on-a-Stick

AP-on-a-Stick サーベイとは、展開前のサーベイの一種で、AP を模倣する 1 つの「テスト用」AP をサイトに持ち込んで使用します。このテスト用 AP は、通常、AP の設置候補場所で三脚に取り付けられ、サーベイ担当者が AP の周辺を歩き回り、受信範囲の限界、そのエリアの電波に影響を与える建物内の減衰要因を調査します。これを終えたら、新しい場所に AP を動かし、同じ手順を繰り返します。複数の場所を歩き回り、マッピングを行ったら、結果を集約し、ネットワークに複数の AP が本当に設置されている状況を仮想的に再現したヒートマップを作成します。AP-on-a-Stick 方法の大きな利点の一つは、設置予定の AP モデルを使用できることです。AP やアンテナ、環境内の送受信の特徴の感じを正確に捉えることができます。

B.

展開後

展開後のサイト・サーベイは、検証サーベイとも呼ばれ、ほとんどの人がサイト・サーベイと言われて想像する調査のことです。新しいサイトの設計が終わり、AP が設置(大抵は業者により)されると、ネットワークが期待通りのパフォーマンスで動作していることを確認するために、サイト・サーベイが実施されます。この段階で、ネットワークの問題の多くを発見することができます。AP の誤設定、不適切な設置、位置ずれなどの問題は受信範囲マップに示され、計画で予想されたものと異なることになります。展開後のサーベイは、フロアプランでは分からない環境状況を捉えるのにも役立ちます。周辺の AP やオフィス家具、干渉機器は、どれもネットワーク問題の原因となり得ますが、必ずしも計画フェーズで分かることではありません。展開後のサーベイは、パフォーマンスが期待通りであることを確認できた場合、あるいはそれを妨げる要因を発見し、修正可能であった場合に、成功したと言えます。

C.

運用中

診断ツールとして見過ごしてしまうことがあるものの、サイト・サーベイは、ネットワークの限界値を把握したり、サイト全体で生じている問題についてのデータを収集するために、通常運用中も実施することができます。このようなサイト・サーベイでは、既知のデータ(例えば、展開後の検証サーベイから得たデータ)と比較して、サイトでどのような変化が生じたかを知るため、またはこれまで検討されていない方法でネットワークの限界を超えるために役立つ情報を入手することを目的としています。

計画についての留意点

サイト・サーベイの必要性は、計画の重要性が低いまたは不要であることを意味するものではありません。サイト・サーベイは、環境の特性をつかむための展開前サーベイであろうが、設置が正しく行われたかどうかを確認する展開後サーベイであろうが、計画を向上させます。計画ステップをスキップすると、展開コストは跳ね上がります。どんなにサーベイを行っても、しっかりした計画を不要にさせるわけではなく、また逆にどんなに計画を行っても、確実なサイト・サーベイの必要性を無くすわけではありません。

サーベイのさまざまな種類

ほとんどのサイト・サーベイ・ツールでは、以下の種類のサーベイがサポートされています。

A.

パッシブ

空中で何が起きているのかすべて知らずして、電波環境を正確に把握することはできません。パッシブ・サーベイは、特定の場所におけるすべての AP とチャネルの利用状況を調査し、ネットワークが最適に動作するように調整できるようにします。

 

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定義

パッシブ・サーベイでは、無線環境で見ることができるすべての情報(サイトにある AP、近くにある AP など)をつかみます。すべての AP のチャネルと信号強度が収集され、サイト別に表示されます。

 

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実施するタイミング

パッシブ・サーベイは、一般的に展開前後に行われます。低スループットや悪いアプリケーション・パフォーマンスの主な原因として、同一チャネル干渉と隣接チャンネル干渉が挙げられます。展開前のパッシブ・サーベイは、近くにある既存の AP との同一チャネル干渉を避けるため、新しい AP のチャネル選定に役立ちます。展開後のパッシブ・サーベイは、実際に同一チャネル干渉が存在しないことを確認するのに役立ちます。

B.

アクティブ

アクティブ・サーベイは、既存のネットワークの受信範囲をマッピングするためのものです。

 

• 

定義

アクティブ・サーベイでは、AP レベルまたは SSID レベルでネットワークに接続し、その AP または SSID の受信範囲をマッピングします。アダプターにローミング条件を設定し、次の AP にいつローミングするかを確認できます。

 

 

  • アクティブ・アソシエーション

    アクティブ・アソシエーション・サーベイでは、ネットワークに接続し、クライアントがネットワークをローミングしている間も、アクティブなアソシエーションが保たれます。このサーベイは、特定の AP または SSID を対象としているため、得られたデータと分析するネットワークの関連性が確保されます。

 

 

  • アクティブ iPerf

    アクティブ iPerf サーベイは、無線ネットワークにおけるアプリケーション・パフォーマンスを評価するのに行います。実際のネットワークでスループット試験を実施することで、ネットワークが重要なビジネス・アプリケーションをサポートするのに必要なスループットを維持できているかを検証できます。このサーベイは、特定の AP または SSID を対象としているため、得られたデータと分析するネットワークの関連性が確保されます。

 

• 

実施するタイミング

アクティブ・サーベイは、展開前と展開後のどちらでも実施できますが、展開後に行われることが多いです。展開前のアクティブ・サーベイの場合、得られたデータで現在の AP の設置場所と比べ、必要なパフォーマンスが提供されるより良い AP の設置場所を計画できます。展開後のアクティブ・サーベイの場合、スループットと利用可能性の面で、ネットワークがアプリケーションの設計目標を満たしているかどうかを検証できます。

アクティブ・サーベイは、ネットワークの通常運用中でも実施でき、新しいアプリケーションをネットワークに展開する際に、ネットワークがスループットおよびパフォーマンス要件を満たしているかどうか検証されていない場合に行えます。アクティブ・サーベイでは、収集された結果によっては、現行ネットワークの微調整が必要になったり、ネットワークの大規模な変更を行うための展開前サーベイの役割を果たせます。

C.

スペクトラム

Wi-Fi 以外の干渉デバイスは、全体のノイズ・フロアを上昇させ、一部のチャネルを利用不可能にさせて、安定したネットワーク・パフォーマンスを確保できなくさせる場合があります。これらのデバイスはあらゆるところに存在し、場合によっては、サイトに展開される他のソリューションの不可欠な部分であったりします。何が干渉原因であるかだけでなく、フロアプランの どこで干渉が起きているのか知ることは、ネットワーク・パフォーマンスを解析・検証するのに欠かせません。

干渉解析は、サイト・サーベイにおける信号強度や SNR の測定値ほど注目はされないものの、サイトを検証するにあたっての重要要素です。展開を検証する際のベスト・プラクティスには、最高のネットワーク・パフォーマンスを確保するために、必ず統合的な干渉マップと干渉解析を含めます。

 

• 

定義

スペクトラム・サーベイでは、サイト・サーベイ時に主なスペクトル・データをフロアプランにマッピングするために、スペクトラム・アナライザーを活用します。これは Wi-Fi 信号と独立しており、無線周波数スペクトルを直接見ます。

 

• 

実施するタイミング

スペクトラム・サーベイは、展開前または展開後に行われることが多く、どちらか一方を行えば、もう一方を行う必要はありません。展開前サーベイの場合、スペクトラム干渉データは、より最適な AP チャンネルの使用を計画するのに使われます。展開後サーベイの場合、スペクトラム・データは、サーベイ・データの収集中に見られる影響の可能性や悪いパフォーマンスを把握するのに使われます。

D.

ボイス/ローミング

モバイル・アプリケーションやボイス・デバイスの増加に伴い、ローミングおよびローミング地点における接続品質に焦点を当てたサーベイが有益になります。

 

• 

定義

VoFi サーベイは、VoWLAN 通話を追跡してコール品質やローミング・イベントを調査します。VoFi サーベイは、WiMOS、ローミング頻度、信号強度といったコールについての詳細情報を提供します。

 

• 

実施するタイミング

VoFi サーベイは、展開後に行われることが多いです。ローミング・データは、設計がどの程度ボイスのニーズに応えているかどうか把握するのに使えます。

VoFi サーベイは、運用中も実施でき、サイトがボイスをサポートする準備ができているか、また変更が必要かどうかを知る手掛かりとなります。

サーベイの準備

アダプター

Wi-Fi は至る所に存在しているため、ほとんどの場合、どの世代の技術(802.11a、802.11n、802.11ac など)が使われているか以外、無線アダプターの特性について注意を払うことがありません。それは、通常のネットワークの使用では、チップセットやアダプターなどの設計の違いが顕在化することがあまりないためです。しかし、データ収集のためにサイト・サーベイで使われるアダプターの場合は、話が変わります。すべてのアダプターが同じではないため、それを知ることがカギとなります。

 

A.

アダプターを知る

サイト・サーベイを実施する時、サーベイの種類に応じて、信号強度、SNR 測定値、ビーコン情報、スループットなど、多様なデータがアプリケーションによって収集されます。これらはすべて、使用されるネットワーク・アダプターによって渡されるデータが正確であることを前提としています。アダプターの無線感度や全体の設計が悪ければ、測定される信号強度が間違っていたり、線形でなかったり、歪曲されたりして、信頼できない受信範囲マップにつながります。アダプターが、高速データレートに対応できなかったり、過剰なパケット損失が生じると、測定されたスループットがサイト全体を通して低くなる可能性があります。アダプターを通して収集される主なデータ測定値のうち、アダプターの特性の影響を比較的受けないのは、あまり有益ではない情報(ビーコンに含まれる情報)だけです。

ほとんどのツールは、どのアダプターにも対応しているはずです。なぜなら、どれも結局のところ、ネットワーク・アダプターだからです。しかし、企業規模の作業や解析を行う場合には、信頼できるアダプターを使用することが重要になります。アダプターの特性をつかむために、直接テストする時間がある人は、現実的にあまりいません。その代わり、どのアダプターがテスト済みか、どれが他よりも信頼性があるかなどを教えてくれるツール・ベンダーを頼りにしています。推奨される質の高いアダプターを使用しなければ、信頼できる結果を得られません。

推奨されるアダプターを使用したとしても、そのアダプターの特性を十分に理解しておくことが重要です。これにより、より効果的に結果を解釈することができます。使用しているアダプターの受信感度が非常に高い場合、同じ環境で電話がどのくらい機能するか解釈するのに、測定値を少し低めに見る必要があります。アダプターのスループットがあまり良くないのに、高いスループットが記録された場合は、他のアダプターであればより良いパフォーマンスになることを知ることができます。

 

B.

複数のアダプターの使用

ほとんどのサーベイ製品では、同時に複数のアダプターを使用できます。これは、複数のサーベイを実施しなければならない時、順々に行う必要がなくなるため、非常に時間を節約することができます。サイトでアクティブ・サーベイとパッシブ・サーベイ(「サーベイのさまざまな種類」のセクションを参照)を行う必要がある場合、2 つのアダプターを使用して同時に両方のサーベイを行えます。時間の節約以外にも、複数のアダプターを使用するメリットがあります。

電波は、変化しやすい媒体であるため、他のデバイスや減衰源(例えば人間)により、測定値が変わることがあります。同じ実地検証で一度にすべてのデータを収集できれば、あるサーベイで異常値や悪いパフォーマンスが出ても、同じ条件下にあった他のアダプターで収集されたデータと相互比較できます。これは、別の時に実施されたサーベイからのデータを相関付けるよりもずっと信頼できます。なぜなら、どちらのサーベイも同じ電波状況を反映しているか確実に分からないからです。

サイトプランの準備

 

A.

フロアプランのインポート

ほとんどのツールでは、多様なフォーマットでフロアプランをインポートできます。フロアプランの画像/ファイルを選ぶ時に考慮すべき点の一つとして、フロアプランの周りの不要な余白を最小限にすることが挙げられます。余白が過剰にあると、画面のスペースを取りすぎて、対象エリアを見るためだけにズームしなければならなくなります。また、サーベイ実施時に重要情報がしっかり見れるように、フロアプランが十分な解像度になっている必要があります。

 

B.

フロアプランの校正

フロアプランをインポートしたら、校正が必要になります。サイトの寸法を校正することで、伝搬特性の推定や信号損失の補間が正確に計算できます。校正を行う時は、建物の幅や長い通路の長さなど、より大きな寸法を選ぶのが最善です。大きな測定における小さな誤差は、小さな測定(例えば出入り口)における小さな誤差よりも結果に影響がありません。

経路の選択

オンサイトで歩く経路も、受け取るデータと結果の信頼性に影響を与えます。経路が適切でうまく考えられていることが重要です。

 

A.

移動経路

犯しやすい間違いは、AP の位置や電波が届きやすい場所を事前に知りながらサイトを歩き回ることです。経路は、ユーザーがどのようにネットワークを使用するか、ユーザーがどこでネットワークにアクセスする必要があるか、ユーザーのことを考え、ユーザーの期待に応える形で選ぶのが最善の方法です。これは、使用率が高い場所でより時間をかけてデータを収集し、ネットワークに関する重要な決断を行うために必要な適切なデータを入手しなければならないことを意味します。

サイトを歩き回る時の経験則として、以下が挙げられます。

  • できる限り障害物の両側を歩く
    • これにより、障害物の電波減衰属性を正確にヒートマップに反映させられます。
  • 端を歩く
    • これは部屋だけでなく、サイト全体としてです。部屋の真ん中しか通らなければ、端で信号がどのように伝搬されているのかが分かりません。必要なデータを収集するために、角や端に沿って歩く方がはるかに良いのです。

スキャン・パターン

サーベイ・ソフトウェアが使用するスキャン・パターンとは、さまざまな無線チャネルにわたって、どのようなデータがどのタイミングでどのように収集されるかを意味します。考慮しなければならない側面は多く、正解などないのですが、このセクションでは、サーベイ・ニーズに合った選択を行うための重要な考慮点を紹介します。

 

A.

チャネルの選択

ほとんどのサイト・サーベイ・ソフトウェアでは、サーベイしたいチャネルを選択できます。これにより、アダプターのデータ収集は、そのチャネルだけに限定されます。最も明白な 2 つの考え方は、「すべてのチャネル」と「AP が使用するチャネルだけ」です。どちらにも、それぞれのメリットとデメリットがあります。

 

• 

すべてのチャネルをスキャン

すべてのチャネルをスキャンする決定的な利点は、完全な情報を得られることです。予期しない AP (予想外のチャネルを使用している)を検出したり、AP と干渉する隣接チャネルを特定できます。構成の変更が必要になり、新しいチャネルを割り当てなければならない時には、すでに他のチャネルについての情報を入手しているので、決断が容易になります。

 

• 

限定されたチャネルだけをスキャン

チャネルを限定してスキャンすることで、データ収集にかかる時間を短縮でき、それら特定のチャネルに関連したデータやヒートマップを表示できるようになります。これは、サイト・サーベイ実施時に時間の節約となります。

 

1. 

最適な決断

単純な正解などないのですが、スキャンするチャネルを設定する時に自問すべき質問がいくつかあります。

  • AP が使用しているチャネルと使用していないチャネルを自信を持って知っているか?
  • 隣接チャネル・データを取得してメリットを享受できるほど、近くに多数のネットワークが存在するか?
  • サーベイの結果によっては、チャネル計画を見直さなければならないか?

AP が設置されていない場所でチャネル・データを取得しても役立たないと考えれば、スキャン・パターンを制限するのが道理にかなっています。追加のチャネル情報が役に立つ、またはこれらの質問の答えが分からない場合には、時間をかけてすべてのデータを収集するのが最善です。

 

2.

決断の影響

スキャンするチャネルが多いほど、完全なデータ・セットを収集するのに時間がかかり、サイト・サーベイの所要時間を増加させます。ところどころでの余分な数秒は大した時間には思えないかもしれませんが、数千ものデータ収取ポイントが存在する大きな建物では、その数秒が積り重なって 1 時間以上ものに余分な時間になる可能性があります。

データ量が多いほど、予期しないことに対応するための準備ができます。サーベイを開始する前に、何が重要か、何が重要ではないか、常に知ることはできません。すべてのチャネルにわたってサーベイ・データを取得することで、それらチャネルに含まれる情報から有益な洞察を得られれば、長期的に見ると、時間の節約になり得ます。

 

B.

ドエルタイムの選択

ドエルタイム(滞留時間)とは、無線アダプターが次のチャネルに移るまで、特定チャネルでデータを収集する時間のことです。これは、送信されたビーコンを収集するパッシブ・サーベイでは、特に重要になります。ほとんどの企業 AP 構成では、ビーコン間隔が異なるため、それに応じてアダプターのドエルタイムを変更することが重要です。

 

1. 

最適な決断

選択するドエルタイムに影響を与える要素はいくつかあります。最も明らかな要素は、インフラのビーコン間隔です。ビーコン間隔が一般的なデフォルトの 100 ミリ秒より長い時間に調整されていることを知っている場合、サイト・サーベイ・ツールのドエルタイムも調整しなければなりません。さもなければ、サーベイ時にデータ収集でビーコンを見逃し、結果的にデータ・ポイントを失う可能性があります。

チャネル上のトラフィック量も、ビーコンの規則性に影響を与えます。共有される媒体として、AP のビーコンは、たとえ 100 ミリ秒間隔に設定されていたとしても、ぴったりそうなることはあまりありません。重複する BSS やチャネル上のノイズは、ビーコンが数分遅れる原因となります。全体的に見れば、いつもビーコンを見逃すことはありませんが、電波が非常に多い環境で、ビーコンの規則性が著しく欠如している場合は、すべてのビーコンを受信できるようにドエルタイムを調整する理由となります。

 

2.

決断の影響

ドエルタイムを増やすことで、マイナス面が無いわけではありません。ドエルタイムは、1 つのチャネルに居続け、次のチャネルに切り替えるまでの時間を決定するため、アダプターが設定されたすべてのチャネルでデータを完全に収集するための時間に直接影響します。ネットワークがより長いドエルタイムを必要とする場合、データ収集時にそれを考慮し、新しいドエルタイムに合わせて歩く速度(またはオートサンプリング)や「待機時間」(クリックしてサンプルする場合)を調整する必要があります。

通常、1 つのデータ地点で 1 つのビーコンを見逃しても、そのエリアで最適なデータ収集プラクティスに従っていれば(近くにデータ・ポイントがたくさんある)、他の収集ポイントでビーコンが拾われるため、作成されるヒートマップを誤らせることはありません。サイトを歩き回る時間を考えると、信頼できるデータを取得できるように最初からドエルタイムを賢く設定するのが望ましいです。

正しい信号伝搬の設定

信号伝搬の値は、サイト・サーベイ・ソフトウェアが特定の測定値がどの程度適用可能であるかを決定します。サイトの隅々まで歩くことは現実的はないため、ソフトウェアはヒートマップを作成するのに補間をある程度行う必要があります。この値が小さすぎると、ヒートマップではなく、歩いた経路に沿って色付けされた一連の点しか表示されません。一方、この値を非現実的なほど高く設定すると、サーベイしていない、正確に予測できない場所で信号強度の測定値が表示されるようになります。

正しい伝搬値を選ぶことは、サイトの特質を理解することを意味します。空間が開かれた会議場や競技場では、環境内の障害物が最小限のため、より大きな伝搬値が許容されます(ただし、満員で人口密度が非常に高い場合には、それを考慮して調整する必要があります)。壁や障害物の数が多い施設では、障害物の反対側での信号について誤った印象を与えることを避けるため、より小さな伝搬値が望ましいです(これは、適切な経路を選択することで軽減可能です)。

信号伝搬値は、サイトを考慮した上で、サーベイの実施前に選ぶことが理想的です。出来上がったヒートマップを見てから、事後的に選ぶと人間の先入観の影響を受けるからです。

サーベイの実施

移動/収集方法

どこを歩くかと同じくらい重要なのが、どうやって歩くかです。これは、オートサンプリング・サーベイを行う場合に特にそう言えます(「オートサンプリング」を参照)。歩く時は、安定した速度で、かつ建物内の共有エリアであれば、比較的同じ時間で歩くようにします。クリックしてサンプリングする場合には、安定した速度で歩く必要はありませんが、ほぼ同じ時間枠でデータを収集することが大事です。これにより、エリア内で一時的な事象が生じても、小さなデータ・サブセットしか影響を受けません。収集デバイスは、ほとんどのクライアントと比較的同じ高さになるように気をつける必要があります。高すぎたり、低すぎると、ユーザーの経験を正確にモデリングすることはできません。

データ・ポイントの収集

サイト・サーベイ時にサイトを歩き回り、データ・ポイントを収集する基本的な方法として、次の 2 つが挙げられます。1 つめが、選択したチャネルを継続的にスキャンし、移動経路に沿って均一に広がる位置に結果が自動的に書き込まれる「オートサンプリング」です。そして 2 つめが、直近のスキャン結果を、移動経路上の選択した位置に、ユーザーがクリックした時に書き込まれる「クリックしてサンプリング」です。どちらの方法もサイト・サーベイで使えますが、それぞれに考慮すべきメリットとデメリットがあります。

 

1. 

クリックしてサンプリング

クリックしてサンプリングは、2 つのうち、より柔軟性のある方法であると考えられることが多いです。その性質上、ユーザーがクリックした時だけデータが記録されるため、サーベイ中の遅延、中断、あるいはその他の妨害の影響が少なくなります。最後に記録されたスキャン・データは、ユーザーがクリックした場所に書き込まれます。

最適な結果を得るためには、ユーザーがマップ上でクリックする際に、完全なスキャンを行うのに十分な時間間隔を置き、妥当なヒートマップを推定できるほどの十分なクリック・ポイントが記録されるようにする必要があります。クリックの間隔が早すぎたり、収集するデータ・ポイントが少すぎると、信頼できないヒートマップが出来上がります。

クリックしてサンプリングは、頻繁に停止したり、特定のエリアや部屋に入るのに待たなければならない混雜した、あるいは慎重を要する環境で特に役立ちます。

 

2.

オートサンプリング

オートサンプリングは、2 つのうち、必要とするユーザー・クリック数が少ないため、より簡単な方法と考えられることが多いです。オートサンプリング・サーベイでは、ユーザーがクリックしなければならないのは、歩く方向を変える時だけです。前回のクリックから次回のクリックまでの間にサンプリングされたデータはすべて、2 つのクリック・ポイント間の直線に沿って均等に分布されます。

オートサンプリングで最善の結果を得るためには、ユーザーは安定した速度で歩き、データの自動ロギング時間を妥当な周期に設定する必要があります。歩く速度に大きな変化があると、結果的にヒートマップのデータが歪曲され、不正確になります。

オートサンプリングは、ユーザーが少ない妨害で長い通路や開かれた環境を歩く時に役立ちます。

どれが正しいか?

どちらかがより「正しい」ということはありません。どちらの方法でも、良い(そして悪い)サーベイが行われる可能性があります。一般的には、施設または環境の性質上、クリックしてサンプリングの使用を必要とする場合を除き、ゆっくりと安定した速度で歩くオートサンプリング・サーベイを「デフォルト」として使用することが推奨されます。

どれだけやれば「十分」か?

多くの人が抱える問題の一つに、信頼できるサーベイを実施するためにどのくらいのデータ量で十分か分からないというのがあります。多くのことがそうであるように、厳格な決まりなどないのですが、考慮すべき点はいくつかあります。

「十分」はどのように見えるか?

この問題は、収集したデータ・ポイント数とサーベイするスペース全体のサイズを考えるのが一つの方法です。また、結果として作成されるヒートマップを見て、すべてのエリアがカバーされていることを確認します。ここで信号伝搬が影響しますが、良いヒートマップを作成するために、事後的にこれを変更することは良い実践方法ではありません。信号伝搬は、サイト・サーベイの開始前に検討して設定するべきです。選択した値に間違いがあった場合を除き、より良い見た目のヒートマップを作るためだけに変更してはなりません。そうしてしまうと、重要な結論を出すために必要なデータを取得するのではなく、情報不足を「隠す」ためにツールを使用することになってしまいます。ヒートマップ上の受信範囲のギャップや、信号伝搬範囲でもって受信範囲に含まれていると判断されたエリアに、より注意を払う必要があります。そのような場所がサイトの重要なエリアに存在する場合、ネットワークの利用可能性とパフォーマンスを正確に把握するために、それら場所で追加データを収集します。

結果の解析

サーベイの集約

サーベイ結果の相互比較

これまで説明した通り、どのサーベイにもそれぞれのメリットがあり、電波に対してそれぞれ異なる洞察を提供してくれます。複数の異なるサーベイを同時に実施することで、さまざまな種類のデータを見渡し、あるエリアで見られる予想外/悪い結果について理解する能力を備えることができます。これら情報をすべて持つことで、1 つのサーベイの結果と別のサーベイで収集されたデータを比較分析でき、見られる事象について説明できる場合があります。例えば、WLAN でアクティブ iPerf サーベイを実行してサイト全体のスループット・データを収集すると、スループット値が予想外に低いエリアを見つけたとします。アクティブ・サーベイのデータしか無ければ、そのエリアのパフォーマンスがなぜ悪いのか、確実に知るための十分な情報が無いかもしれません。しかし、パッシブ・データとスペクトラム・データがあれば、もっと分析を行えます。パッシブ・サーベイ・データを見ることで、そのエリア近くにある多数の AP がすべて、同じチャネルを使用しているかどうかが分かります。同じチャネルを使用している場合は、同一チャネル干渉が多いために、パフォーマンスが悪いのかもしれません。あるいは、スペクトラム・サーベイ・データを見ることで、当時そのエリアに膨大な Wi-Fi 以外の干渉(例えば、無線カメラや ZigBee システム)があったか確認できます。収集した他のサーベイ・データが、悪いパフォーマンスの明らかな原因を教えてくれない場合は、AP の設定やその背後にある有線接続など、他のネットワーク関連の問題に目を向けることになります。さまざまなデータを持ち、データ・セット全体にわたって比較することで、より良い結論を出すことができ、それぞれの結果に対する理解を深めることができます。

収集データのフィルタリング

サイト・サーベイで収集される膨大なデータ量の中で、重要なものもありますが、すべてがそうではありません。結果を解析するにあたって、データを正しく解釈するためには、ある程度のフィルタリングが必要になります。ただし、これには非常に繊細なバランスが求められます。フィルタリングしすぎると、重要な情報が失われるリスクがあり、逆にフィルタリングが少すぎると、必要な情報が膨大なデータ量の中に埋もれてしまう可能性があります。サーベイで収集されたデータをフィルタリングするさまざまな方法の中で、最も一般的なのが、SSID、信号レベル、AP、およびチャネルを使用したものです。

 

A.

AP によるフィルタリング

1 つ以上の AP でフィルタリングすることで、特定の AP セットに焦点を当てて解析できます。第一の関心事を集中解析するためには、フィルタリングは有益ですが、他の重要なデータを失ったり、フィルタリングから漏れる AP の影響が解析されなくなるほど、強引にフィルタリングしないように注意する必要があります。

 

B.

SSID によるフィルタリング

AP を絞り込む方法として、SSID でフィルタリングする方法があります。これにより、特定の SSID を持つ AP からのデータのみを見れるようにできます。これは、構築されたネットワークが正しく機能していることを確認するために、受信範囲や干渉データを見るのに役立ちます。干渉に関して言えば、フィルタリングした状態だけで評価すべきではありません。ただし、少なくとも自分自身が干渉の原因になっていないことを確認するための良い実践方法になることがあります。

 

C.

信号レベルによるフィルタリング

信号レベルでフィルタリングすることで、信号レベルが特定のしきい値未満の AP を画面に表示しないようにできます。これは、ネットワークに干渉するほど信号レベルが高くない近くの AP の不要なデータを画面から取り除くのに、特に役立ちます。

 

D.

チャネル/周波数帯によるフィルタリング

AP の詳細情報の他に、特定のチャネルや周波数帯でフィルタリングすることも可能です。これは、対象のチャネルまたは周波数帯上の結果解析を提供します。多くの場合、2.4GHz 帯だけでなく、5GHz 帯でネットワークが稼働しています。周波数帯でフィルタリングすることで、より簡単に周波数帯ごとのデータを解析でき、重要な数値指標を満たしているか確認できます。

決断の影響

フィルタリングは、対象のデータをより理解し、解析するために行うべきで、求めている結果を得るために行うべきではありません。人間の本質を抑えるためには、どのようなフィルターを施し、フィルタリングされた結果を見る前に、データをどのように解析して評価するかを事前に検討することが望ましいです。これにより、状況を最も正確に表しているデータではなく、都合の良いデータだけを得るために事後的にフィルタリングする誘惑を断つことができます。

結果のレポート作成

レポートは、他人がサーベイの結果を見る主な方法です。レポートには、結果を理解し、評価するために必要なすべての関連情報を含める必要があります。レポートを作成するにあたっては、必要な情報をすべて提供しながらも、ささいな情報は取り除くといった微妙なさじ加減が必要です。どのレポートにも当てはまる絶対的な目次などありませんが、ほとんどのレポートで役に立つ共通要素がいくつかあります。

移動経路

例外かもしれない AP-on-a-stick サーベイを除き、移動経路はデータ収集プロセスに欠くことのできない部分であり、レポート内の他のデータを解釈する人にとって重要な手掛かりとなります。読者のどこで何を測定したかの質問の多くは、移動経路を見ることで素早く、そして視覚的に回答を得ることができます。移動経路のデータを提供することで、データ収集時にどれだけの努力・注意があったかを読者に知らせ、ヒートマップだけではすぐには分からないサイトの問題点(立入禁止区域や近づき難いエリア)を浮き彫りにするのに役立ちます。

すべての関連ヒートマップ

今日の多くの無線設計には、単純なフロアプラン全体の信号強度以上に、さまざまな懸念事項があります。そのため、設計のあらゆる側面を網羅し、ネットワークの重要指標を浮き彫りにして、設計がこれら指標を満たしていることを証明するため(あるいは展開前サーベイの場合は、現在要件を満たしていない部分を再設計時に改善する)のヒートマップが必要になります。要件を満たしていない部分は、他の設計の制限(予算、設置場所など)により、初期の設計要件を妥協せざるを得なかったかを知るのに役立ちます。設計要件をカバーするヒートマップはすべて含め、また設計上の欠陥、妥協、または脆弱性を示すヒートマップも含めるようにします。プラスの面を目立たせたいと思うのは人間の性であるものの、レポートを準備し、最終的な承認を得るにあたって、弱点を指摘するも同様に重要です。レポートを読み終えた後、ネットワークの本質について、両者が完全に同意していなければなりません。後々に驚くようなことがあってはなりません。

説明および解析

これらのヒートマップに加え、徹底的なメモや分析も加えます。また、設計の重要な詳細、懸念点/特徴を挙げ、それをレポートで指摘します。質の高いサイト・サーベイ・レポートは、ネットワークに関して、レポートを準備した人と同じくらいの知識を読者に与えるものでなければなりません。「すべての関連ヒートマップ」のセクションで説明したように、重要点を説明し、作業が抜け目なく実施されたことを証明するために、レポートではヒートマップを参照するようにします。

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