モノのインターネット(IoT)の接続 | フルーク・ネットワークス
ホワイトペーパー

モノのインターネット(IoT)の接続

はじめに

モノのインターネット(IoT)を理解しようとした時、このトピックについての記事の多さに圧倒され、おじけづいてしまう人もいることでしょう。その一方で、私生活で、また事実上どの業界でも、新しい IoT デバイスが急速に普及しつつあります。このドキュメントの目的は、誇大宣伝による過剰な期待を鎮め、基本的なレベルで IoT の導入を準備および管理するための方法について、議論を促進することにあります。

また、このドキュメントでは、専用のソリューションを使用して、IoT を導入、検証、およびトラブルシューティングする方法を知るためのベスト・プラクティスを紹介します。専用ソリューションは、迅速かつ簡単に使えるように設計されており、IT チームのメンバー誰もが、スキル・レベルに関係なく、これら作業に熟達し、組織が少ない人員でより多くの仕事をこなせるようにします。

IoT の推進

デジタル革命による IoT デバイスの普及に伴い、IP の接続性、そして多くの場合、ネットワーク給電が必要になっています。組織は、空調設備や照明などの運用コストの削減、効率性向上を目的としたビル・オートメーション・システムのアップグレードを実現すべく、IoT デバイスを取り入れるようになっています。この動きにより、IT および OT(オペレーショナル・テクノロジー)部門は、統合と連携を強いられています。これは既に限界に達した企業のアクセス・ネットワークとサポート・リソースの負担を増やすことになります。下の画像は、ネットワークに接続され始めているデバイスの種類の豊富さを示す例です。

IoT デバイスの種類の豊富さを示す例。© Cisco Systems 許可を得て使用しています。

IoT を念頭に開発された ZigBee や Bluetooth、または新しい Bluetooth 5 などの無線技術を使用した PAN(パーソナル・エリア・ネットワーク)を通して接続しているデバイスもあります。これらの PAN デバイスは、通常、イーサネット・ネットワークに接続されているある種のフィールド・ゲートウェイを通じてネットワークに接続されます。他にも、IoT デバイスを接続するために使用される技術として、3G、4G、次世代 5G などのセルラー技術がありますが、現在 100 億台と推定される大半のデバイスは、何らかの方法で有線イーサネット 802.3 または 802.11 無線に接続されています。IoT デバイス同士、あるいは他の制御システムに接続するには、高度なスキルを持つネットワーク・エンジニアが必要です。一方、自動化されたテストや事前設定されたプロファイルを通じて、スキル・レベルに関係なく、誰でも使える適切なツールを使用することで、効果的な導入、継続的なサポートおよびトラブルシューティングを可能にします。

導入を成功させるための戦略

サイロ化された組織で生じる導入時の問題だけでなく、外部ベンダーが関与する場合に発生する可能性が高い問題も把握しておくことが大事です。前述で説明したように、導入する一部のデバイスの中には、照明、アクセス制御、空調といったオペレーショナル・テクノロジー(OT)部門が一般的に担当するデバイスもあります。これらシステムは、ネットワークに接続されるようになっており、電力にパワー・オーバー・イーサネット(PoE)が必要になる可能性が高いため、IT、OT、そして外部ベンダーとの連携を円滑にすることが、導入戦略の主要素でなければなりません。関係する各グループは、それぞれが担当する部分しか見えていない可能性があるため、問題が生じた時の責任のなすり合いの原因になります。これは、ストレスがたまるだけでなく、多大な時間とお金がかかるため、事前計画とコミュニケーションが、責任のなすり合いを減らす、または無くす秘訣となります。

計画時の検討事項

計画フェーズでは、IT サポート、デバイス設定、ネットワーク接続のテスト要件、パフォーマンス、およびドキュメンテーションに関して、ローカル・サイトとリモート・サイトのニーズを考慮する必要があります。プロジェクト計画には、次の要素を含めることを検討してください。

IT リソースの特定

導入および継続的なサポートに役立つ今現在利用できるリソースについて考えましょう。これらリソースについて考える時、上位の技術者やネットワーク・エンジニアの導入時およびトラブルシューティング時の負荷をより多くの人に分担させる方法について検討してください。上位のネットワーク・エンジニアは通常、重要な IT プロジェクトから気をそらす膨大なエスカレーション数で頭を抱えています。適切なツール・セットがあれば、多くの組織が下位の技術者に自らより多くの問題を発見できるようにしたり、すぐに使える可視性でもってより効果的に問題をエスカレートする能力を提供できます。これは、ネットワーク・エンジニアの仕事量を減らし、連携力を高め、チームが同じ人的リソースでより効率的に作業できるようにします。

ネットワークの接続性要件

導入およびネットワーク環境ごとに、独自のネットワーク接続性要件が存在します。これらパラメータを事前に特定し、標準化および決められたネットワーク接続性要件を持つことで、時間節約となり、後々のフラストレーションを減らすことができます。この要件を定義する一環で、誰が、またどのようにして要件を検証するかの計画を立てる必要があります。スキル・レベルに関係なく、より多くの人に作業負荷を分散させられる、必要なテストを自動的かつ一貫した方法で行えるやり方を模索してください。検証パラメータの例として、次が挙げられます。

  • 接続ジャックで必要な PoE 電圧レベル
  • 速度/デュプレックス
  • スイッチ情報(名前、スロット/ポート/VLAN など)
  • インターネット接続アドレス/ポート

ドキュメンテーションのニーズ

ジャックとスイッチのスロット/ポート/VLAN との間の接続経路のほか、接続デバイスについての情報のドキュメンテーションは望ましいですが、必ずしも容易に取得・管理できるものではありません。ドキュメンテーションは、将来問題が発生した時のためにも不可欠です。すべてが正常に機能し、正しく接続されていた時の状態のベースラインを確立することは、トラブルシューティング時の時間の節約になります。組織にとって役立つ情報とは何か、どのように整理すべきか、拠点ごと、あるいはフロアごとに定義します。また、初回の入力時、また今後のトラブルシューティング時に、この情報にアクセスする必要がある人を特定します。

責任のなすり合いの回避

IoT デバイスやシステムの設置および保守には、多くの部門や外部業者が関与していることがあります。そのため、関係者全員が 1 つのプロジェクトの下で協力し、接続要件のほか、デバイス設定リソース(オンプレミス、クラウド、または Android アプリ・ベース1)へのアクセスを評価、特定、および合意することが必要不可欠になります。これにより、関係者の皆に、導入要件、そして保守・トラブルシューティングをするにあたって期待されるデバイスのパフォーマンスについて理解してもらうことができます。ネットワークとサービスの要件を決定したら、設置を検証するためのネットワーク接続性試験およびレポートの要件、さらに継続的サポートの戦略とオーナーシップを特定する必要があります。

ネットワーク・サービスの適格性評価

組織が IoT デバイスを導入またはトラブルシューティングする時の最も基本的な要素は、接続デバイスをサポートするために必要なネットワーク・サービスが正しく設定および動作していることです。ネットワーク・サービスには、リンク速度/デュプレックス、PoE、スイッチ構成、IP アドレスの割り当て、DNS およびゲートウェイの接続性、そして必要なリソースへの接続性が含まれます。

各テストを毎回同じように実行できるように自動化することで、組織は一貫した繰り返し可能なテスト・プロセスを確保できるだけでなく、問題が発生した時に自動的に問題領域を特定することができます。ネットワーク・エンジニアへのエスカレーションが必要になった時、問題領域に対する実用的な可視性は、より迅速な問題のトリアージを可能にします。技術者がすでに実施したテストを知ることができるため、同じテストに時間を無駄にすることがなく、より高度なトラブルシューティングで問題の核心に切り込むことができます。

IoT デバイスの設定

導入および継続的なサポート中は、たとえ第三者が初期導入を行っていたとしても、デバイスがどのように設定・管理されているか把握しておく必要があります。今日のほとんどのデバイス・ベンダーは、デバイス設定を容易にする Android アプリ・ベース1 またはクラウド・ベースのアプリケーションを提供しています。導入するデバイスについて、誰がどのようなリソースを提供しているか、また継続的なサポートやトラブルシューティング時にどのようにこれらアプリケーションがアクセスされるか、知っておくことが重要です。これにより、各プロジェクト・フェーズで、必要なツールと接続方法を特定することができます。

業務に最適なツール

IoT デバイスの導入を検証するために必要なテスト・パラメータを特定する際には、ニーズを満たすテスト機器を検討することが重要です。最も重要な点は、導入プロジェクト全体にわたって、どの技術者も同じテスト・リミット値で同じテストを実行できるように、一貫した繰り返し可能なテスト(つまり、オートテスト)を準備することです。さらに、測定結果の中央データベースにテスト・レコードを自動的に取得できるようにすれば、コラボレーションとレポートのプラットフォームを提供できるだけでなく、将来のトラブルシューティングに役立つ正常接続のベースラインが確立されます。結果を一元的に見れることで、共通するコンポーネントまたはサービスの障害をすぐに特定でき、大幅なプロジェクトの遅延や多額の出費を避けることができます。これは、デバイスの設置・稼働開始後の継続的なサポートを円滑にします。ローカルまたはリモートのサポートのどちらにおいても、クラウド・サービスを通じたテスターのリモート可視性、またはネットワークに対するリアルタイムの制御能力を使用して、より多くの経験豊富なエンジニアが協力して迅速に問題解決を図れます。

組織に合ったソリューションの組み合わせを見つけるには、ユーザーのスキル・レベルに応じた異なるツールの要件、拠点ごとの要件、そして予算を考慮しましょう。適切なソリューションを持つことで、問題が発生した時に原因がネットワークにあるのか、またはデバイス自体にあるのか特定でき、責任のなすり合いを回避するのに役立ちます。

802.3 有線イーサネット IoT デバイスの導入

802.3 有線イーサネット・デバイスを設置または稼働開始する際には、計画フェーズ中に特定した接続性要件テストを通じてネットワーク・サービスを検証します。これを行う方法としては、導入チームの誰もが実行できるオートテスト「プロファイル」を使用することが最も効果的です。事前定義されたテスト・プロファイルを使用することは、一貫した、かつ標準化されたテスト方法を提供します。

オートテストでは、以下のテストを実行するようにします。

  • まず最初に、IoT デバイスが接続されるジャックの負荷がかけられた状態での PoE を確認し、スイッチが十分な電力を供給しているかどうかをチェックします。負荷時にテストすることは、高出力を必要とするデジタル照明などのデバイスを展開する環境で特に重要になります。たとえケーブル配線が認証試験に合格したとしても、システム全体が必要な出力レベルを提供しているとは限りません。負荷時にテストを行うということは、デバイスにネットワークに接続される地点で、「要求」された出力レベルと実際に「供給」された出力レベルを比較できることを意味します。また、適切な構成を確認するために、どのペアで PoE の受給電が行われているのかを見ることも重要です。使用するツールは、デバイスの最大ワット数での負荷テストに対応するものでなければなりません。

図 1:LinkRunner G2 - オートテスト結果を 1 つのページに表示。

図 2: LinkRunner G2 - PoE の詳細なテスト結果。各テストをドリルダウンして、詳細を表示できます。

  • 次に、リンク速度とデュプレックスです。イーサネット・デバイス同士が接続を試みる時、リンクを確立する前に通信の最大速度とデュプレックスのネゴシエーションが行われます。帯域幅を多く消費するアプリケーションには、低速/非効率な半二重接続を避ける必要があります。
  • 次のステップは、IPv4 アドレスの割り当てです。これには、DHCP による割り当てか、静的アドレスの割り当てがあります。デバイスをネットワークに永久接続する場合には、後者の方が一般的です。DHCP プロセス中、または静的に IP を設定する際には、DNS(ドメイン・ネーム・システム)サーバーのアドレスを特定し、DNS サーバーの応答時間を検証する必要があります。使用されるツールは、将来に備えて IPv6 アドレスにも対応していることが望ましいです。

標準化されたオートテストを使用することで、ツールや技術者が違っても、同じテストを実行できます。これにより、プロジェクト全体を通して一貫したテストが可能になり、テスト間の異常値を迅速に発見できます。

もう一つ便利なのが、物理ケーブルを検証し、断線/短絡/対分割などの不良箇所までの距離を特定できる機能です。対反転や対交差ペアを素早く特定するのにも役立ちます。

図 3: LinkRunner G2 - ケーブル・テスト結果。

802.11 無線 LAN IoT デバイスの導入

有線イーサネット・デバイスと同様、802.11 無線 LAN デバイスも、設置、検証、継続的保守の各ステージで確認が必要になります。

まずはじめに、無線 IoT デバイスが、適切なネットワークに接続するようにするため、特定の認証情報でもってデバイスをプログラミングしておきます。これには通常、SSID(サービス・セット識別子またはネットワーク名)が使われます。デバイスが正しいアクセス・ポイント(AP)および SSID に接続しているか確認するには、テスト・デバイスを使用して接続をモニタリング/検証できます。

図 4: AirCheck G2 - アクセス・ポイントの詳細テスト。

図 5: AirCheck G2 - チャネル使用率テスト。

次に確認すべき機能はローミングです。デバイスを持って建物内を移動しても、次の最も近い AP にシームレスに関連付けできるかどうかをチェックします。接続が切れると、アプリの読み書きデータが失われたり、VoIP 接続であれば、通話が切断される可能性があります。

無線 IoT デバイスの接続が断続的に切れる、接続できない、または接続が遅い場合、無線チャネルまたはボンディングされたチャネルが、電子レンジやアナログ監視カメラなどの非無線デバイスの干渉を受けている可能性があります。これは、スペクトラム・アナライザーや、チャネル別に無線と非無線の電波(RF)信号を区別できるツールを使用することで特定できます。

図 6: AirCheck G2 - Wi-Fi 干渉デバイスの概要。

図 7: AirCheck G2 - iPerf テスト。

ネットワークに接続している IoT デバイス数が非常に多い場合、ネットワークの容量またはスループット不足が考えられます。これは、無線接続から有線イーサネット接続までのスループット・パフォーマンス検証機能を持つテスト・ツールで確認できます。

また、リモートからテスターにアクセスし、操作できる能力、そして複数の人が結果にアクセスできる一元的な保存場所により、トラブルシューティング時間を短縮でき、リモート・エンジニアのコラボレーションを促進できます。

まとめ 

今日のネットワーク環境における IoT デバイスの普及は、同じ人員でより多くの仕事をこなさなければならない問題を引き起こしています。また、サイロ化された各組織部門と外部ベンダーでのプロジェクト管理の複雑さを増す可能性があります。そのため、管理およびサポートしなければならないネットワーク接続デバイスが増えていく中で、より多くのリソースを活用し、チーム間の連携を強化して、責任のなすり合いが生じた時に、事態をコントロールするための可視性を確保するなどして、プロジェクト管理能力を拡大するための方法を考える必要があります。

これらのツールを導入し、展開中および展開後のトラブルシューティング時の現場技術者に力を与える組織は、エンジニアの連携の向上とプロジェクト ROI のより早期の実現を経験することになります。 さらに、これらのツールは、問題が発生した時に、チーム・メンバー間や外部メンバーとの責任のなすり合いを防ぐことができます。

専用テスト・ソリューションについての詳細は、以下で学べます。
https://enterprise.netscout.com/industries/handheld-network-test-solutions

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