接続されていないおしゃべりな Wi-Fi デバイス|enterprise.netscout.com

接続されていないおしゃべりな Wi-Fi デバイス


スマートフォンのプロービング例

HTCのスマートフォン:1 秒あたり 173 プローブ(330 バイト/プローブ)。1 Mbps の速度で 2640 ビット/秒 = 0.00264 秒/フレーム。173 プローブ/分 = 0.45672 プローブ秒/分の使用時間 + 40 マイクロ秒/フレーム(0.00956 秒) = 0.46628 秒/分 (1 チャンネルにつき、電話あたり 0.777% の使用時間)

ネットワーク関係者の間で引き金となる言葉をお探しならば、「BYOD」というのがあります。BYOD とは「Bring Your Own Device」(個人機器の持ち込み)の略で、従業員、ベンダー、来客者などが私物のデバイスで企業の Wi-Fi にアクセスできるようにするコンセプトです。BYOD により、モビリティ、デバイスの制御不足、隣接ネットワークの干渉、ゲストの認証など、これまでネットワークとは無関係であったさまざまな課題が生じています。

幸いにも、ネットワーク専門家は BYOD に慣れてきています。スマートフォンの台頭以来、10 年近くにわたって、企業はユーザーが私物の Wi-Fi デバイスをネットワークやインターネットに接続することを前向きに受け入れるようになりました。企業によって BYOD ポリシーに違いがあるものの、外部デバイスの社内ネットワークへの接続が許容されるようになりました。

厄介なことに、BYOD が成長している間に、別の無線トレンドが生まれていました。それは、モバイル・データ通信の高速化です。会社の Wi-Fi に不満を持つユーザーは、多くの場合、ネットワークがボトルネックとならない自身の携帯電話網に接続し、オンライン・アプリケーションにアクセスすることができます。

ユーザーがモバイル・データ通信に引き付けられることに何が悪いのでしょうか?それは、携帯デバイスが Wi-Fi デバイスのネットワーク・パフォーマンスに悪影響を与える可能性があるからです。一部のデバイスは、Wi-Fi ネットワークに接続されず、携帯電話のデータ通信網にアクセスしていたとしても、アクティブな状態を保つ Wi-Fi ラジオを備えているものがあります。またこれに加えて、デバイスの動作にもばらつきがあります。Wi-Fi を積極的に使用していない時は物静かなデバイスもあれば、Wi-Fi に接続していなくてもおしゃべり(chatty)なデバイスもあります。


このホワイトペーパーでは、Wi-Fi 対応デバイスが Wi-Fi に接続していないのに、どのようにしてパフォーマンスを低下させるのかを説明します。また、おしゃべりな Wi-Fi デバイスがパフォーマンス問題を引き起こしているのかを診断するのに、NETSCOUT の最高クラスの解析アプリケーション、AirMagnet WiFi アナライザ PRO がどのように役立つのかを詳しく取り上げます。


まずは、問題の説明から始めましょう。

大抵の場合、問題は帯域幅にあります。具体的に言えば、Wi-Fi の帯域幅です。つまり、この帯域幅の問題は、ネットワーク管理者が通常考える帯域幅の問題とは異なります。

Wi-Fi デバイスとアクセスポイント(AP)は、チャンネルを共有します。ある特定の時点で、チャンネル上で送信できるのは 1 つのデバイスだけです。複数のデバイスが同時に送信すると、衝突が生じるからです。

ほとんどの場合、Wi-Fi のチャンネル共有は問題なく行われます。あるデバイスまたは AP が送信を開始すると、他のデバイスや AP は静か(待機状態)になります。データが送信されると、すべてのデバイスおよび AP は、誰が次に送信するか決定するための「調停」プロセスに入ります。この調停の勝者がデータを送信し、同じプロセスを繰り返します。





こんな感じです。
Wi-Fi 調停は、チャンネル上の衝突を最小限に抑えながらデータが流れるようにする仕組みです。通常は、これでうまくいきいます。「帯域幅」は比較的均等に分割されます。チャンネル上に 4 つのデバイスがあり、チャンネルが 100 Mbps 相当の総スループットに対応できる場合、各デバイスは約 25 Mbps のスループットが割り当てられることになります。


Wi-Fi 帯域幅の問題は、変動があることです。Wi-Fi デバイスは、必要に応じて異なるデータ・レートに切り替えできる Dynamic Rate Switching (DRS) と呼ばれるプロトコルを使用します。

デバイスによって必要とするデータ・レートは異なるため、DRS は Wi-Fi にとって望ましいプロトコルといえます。チャンネルの状態が悪化した場合、高速トラフィックに問題が発生しても、低速な Wi-Fi トラフィックに影響はありません。距離、壁、モビリティ、干渉、あるいはその他の不安定なチャンネルの状態にかかわらず、低速なデータ・レートでは、Wi-Fi を使い続けることができます。





DRS により、各デバイスが同じチャンネル上で異なるデータ・レートを使用することになります。
異なるデータ・レートが使われるようになると、Wi-Fi の帯域幅に変化が見られ始めます。同じデータ量を送信する場合、低速なトラフィックはより多くのチャンネル時間を占有するため、チャンネル全体のデータ容量が一杯になってしまいます。




Wi-Fi ネットワークが異なるデータ・レートでどのようにデータを処理するのかを説明します。
各データ・フレームをチャンネル上で送信する時間が長いほど、チャンネルを通して送信できるデータ・フレーム数が少なくなります。その結果、ネットワーク全体が遅くなります。

これが、接続されていない Wi-Fi デバイスの話につながるのです。

問題は、Wi-Fi デバイスの多くが、携帯の電波しか届かない場所から Wi-Fi が存在する場所に移動した時にシームレスに移行できるように、Wi-Fi ラジオをアクティブな状態に保っていることです。

プロセスは次の通りです。
デバイスに電源が入ると(またはスリープ状態から復帰)、Wi-Fi 接続を探します。Wi-Fi 接続がなければ、インターネット・アクセスにモバイル通信(もしあれば)を使い始めます。携帯電話網を使用している間も、デバイスは Wi-Fi ネットワークを探し続けます。

Wi-Fi ネットワークに接続していなくても Wi-Fi を探すプロセスが(携帯電話網に接続している間)、Wi-Fi チャンネルでデバイスがアクティブ状態のままになる原因です。

デバイスが Wi-Fi を探し続けることは、大きな問題になり得ます。デバイスは、Wi-Fi ネットワークを探すのにプローブ要求と呼ばれるメッセージを使用します。プローブ要求のフレームサイズは比較的大きく(通常、100 バイト以上)、速度も非常に遅いです。プローブ要求フレームは、可能な限り多くの AP に届くように、最も低速なデータ・レートで送信されます。現代の Wi-Fi デバイスは、1 または 6 Mbps でプローブ要求フレームを送信します。最大 867 Mbps のデータ・レートで Wi-Fi にアクセスできる現代のスマートフォンと比べ、これはとても遅いのです。




チャンネルが次のようになり得ます。
一般的なプローブ要求は、150 バイト以上で、最大 360 バイトにまで及びます。これはつまり、プローブ要求ごとに 240~2,920 マイクロ秒の時間、チャンネルが占有されることになります。(802.11n/ac 規格の物理層のカプセル化に約 40 マイクロ秒、0.000001 [1 Mbps] または 0.0000001667 [6 Mbps] 秒/ビットを使用する 150~360 バイト [1,200~2,880 ビット] のプローブ要求フレームに 200~2,880 マイクロ秒。)

ほとんどの場合、プローブ要求フレームはデータ・フレームよりも多くのチャンネル時間を使います。1546 バイト(1,500 バイトのペイロード、 8 バイトの上位層のカプセル化、および 38 バイトの 802.11 ヘッダー)の大きなデータ・フレームでも、52 Mbps の比較的遅いデータ・レートで、ヘッダーとカプセル化を含め、チャンネルをたった 280 マイクロ秒しか使いません。基本的に、最良のシナリオのプローブ要求は、最悪のシナリオのデータ・フレームと同じくらいのチャンネル時間を使います。

それでも良い点もいくつかあります。それは、Wi-Fi デバイスが少しおとなしくなったことです。3、4 年前までの Wi-Fi デバイスは、接続されていない状態で非常に「おしゃべり」(chatty)でした。データ通信を行うスマートフォンが送信するプローブ要求フレーム数は、Wi-Fi に接続された一般的な Wi-Fi デバイスよりも何倍もの Wi-Fi チャンネル時間を占有します。高密度な環境においては、Wi-Fi デバイスは接続されていなくても、Wi-Fi ネットワークに悪影響を及ぼす可能性がありました。今日では、これは起きません。Wi-Fi ネットワークに接続されていない Wi-Fi デバイスが送信するプローブ要求フレーム数は、ずっと減りました。

Wi-Fi デバイスが以前よりおとなしくなったのはいいことですが、接続されていない Wi-Fi デバイスはまだ問題となり得ます。Wi-Fi デバイスによっては、Wi-Fi のパフォーマンスや安定性の問題を引き起こすくらいおしゃべりになり、特に人の密度が高い場所だと特に問題が顕著になります。


確実性がより少ないため、ある意味、より扱いにくい問題になります。Wi-Fi 専門家はこれまで、「これら Wi-Fi デバイスをすべて接続するか、Wi-Fi ラジオをオフにする必要がある」と言えました。今は、「問題となるかもしれないから、これらの接続されていないデバイスがおしゃべりすぎかどうか調べる必要がある」に変わりました。

Wi-Fi で「かもしれない」の事態が発生した場合、Wi-Fi ネットワーク・アナライザの出番です。NETSCOUT は、データ・レートとプローブ要求アクティビティを簡単かつ迅速に追跡できるエンタープライズ・クラスの Wi-Fi ネットワーク・アナライザを提供しています。

NETSCOUT の AirMagnet WiFi アナライザ PRO は、Wi-Fi 専用アナライザの元祖です。実際に、唯一の本当の Wi-Fi 専用アナライザでもあります。NETSCOUT がそのように断言できるのは、AirMagnet WiFi アナライザ PRO には Wi-Fi 専用の機能が備わっているからです。また、それら Wi-Fi 専用機能の一部は、接続されていないデバイスがおしゃべり過ぎて Wi-Fi 問題の原因になっているか判断するのに役立ちます。

Wi-Fi デバイスのパフォーマンスへの影響を調べるにあたって、AirMagnet WiFi アナライザ PRO の最も役に立つ Wi-Fi 専用機能は、[Infrastructure](インフラ)画面にあります。[Infrastructure](インフラ)画面は、AirMagnet WiFi アナライザ PRO の他の画面と同様、左下のボタンをクリックすることでアクセスできます。






[Infrastructure](インフラ)画面で AP またはデバイスをクリックするだけで、AirMagnet WiFi アナライザ PRO の特徴的な Wi-Fi 専用機能にアクセスできます。AP またはデバイスを選ぶたびに、AirMagnet WiFi アナライザ PRO は選択した AP またはデバイスにより占有されるチャンネル上ですぐにキャプチャを開始します。

選択したデバイスのチャンネルで自動的にキャプチャできる AirMagnet Wi-Fi アナライザの能力は、キャプチャ対象のチャンネルを手動で選択する必要がある場合と比べて、非常に時間の節約となります。

これは、AirMagnet Wi-Fi アナライザの [Infrastructure](インフラ」画面を使用して Wi-Fi デバイスのおしゃべり度を評価する方法例です。
最初に、デバイスを特定する必要があります。AirMagnet WiFi アナライザ PRO にすべてのデバイスの一覧を表示させるには、[Infrastructure](インフラ)画面の左上にあるドロップボックスから [STA List](STA 一覧)を選択します。





ステーションの数は数百にも及ぶ可能性があるため、MAC アドレス、IP アドレス、またはホスト名でデバイスを見つける必要があります。あらゆる Wi-Fi アクティビティをキャプチャし、解析できる AirMagnet WiFi アナライザ PRO の能力は、いろんな意味で素晴らしいのですが、1 つの MAC アドレスを探すことになると、手作業が必ず発生します。




ステーションの数は数百にも及ぶ可能性があるため、MAC アドレス、IP アドレス、またはホスト名でデバイスを見つける必要があります。あらゆる Wi-Fi アクティビティをキャプチャし、解析できる AirMagnet WiFi アナライザ PRO の能力は、いろんな意味で素晴らしいのですが、1 つの MAC アドレスを探すことになると、手作業が必ず発生します。

ステーションはアルファベット順で表示されるため、検索しやすくなっています。ただし、AirMagnet WiFi アナライザ PRO はベンダー OUI(MAC アドレスの最初の 6 桁)を認識できるため、デバイスのメーカーや Wi-Fi ラジオのチップセット・メーカーでデバイスの MAC アドレスを識別する必要がある場合があります。

ステーションの一覧から接続されていない Wi-Fi デバイスを見つけたら、次は AirMagnet WiFi アナライザ PRO の Wi-Fi 専用機能を使用して、デバイスのおしゃべり度を評価します。これは [Stats](統計)ウィンドウで行います。AirMagnet WiFi アナライザ PRO の [Infrastructure](インフラ)画面でデバイスまたは AP を選択した場合、そのデバイスまたは AP のアクティビティだけが [Stats](統計)ウィンドウ(画面の右下隅)に反映されます。これは、数多くの Wi-Fi デバイスの中から最もおしゃべりなものを探す必要があるネットワーク・プロフェッショナルにとってすごい機能です。

AirMagnet WiFi アナライザ PRO があれば、キャプチャされた無数のフレームを調査したり、解析ソフトウェアが複雑な表示フィルタを実行するのを待つ必要がなくなります。その代わりに、デバイスをクリックすると、プローブ要求アクティビティに関する統計が [Infrastructure](インフラ)画面の右下で簡単に見れるようになります。





接続されていない Wi-Fi デバイスのプローブ要求アクティビティを分析するにあたって、注意すべき点がもう一つあります。AirMagnet WiFi アナライザ PRO をはじめとする Wi-Fi ネットワーク・アナライザは、一度に 1 つのチャンネルしかキャプチャしませんが、デバイスは複数のチャンネルでプローブ要求フレームを送信します。




上図では、1 つのスマートフォンが数分の間に、1 つのチャンネル上で 146 ものプローブ要求フレームを送信していることが分かります。このスマートフォンは、他のチャンネルでも確実にプローブ要求フレームを送信しているはずです。また、AirMagnet WiFi アナライザ PRO の [Infrastructure](インフラ)画面で他のデバイスを選択した場合も、近い数のプローブ要求フレームが見られる可能性があります。

Wi-Fi 環境のプローブ要求の混雑度を分析する際は、一般的に上昇している数値を見るのが最善の方法です。デバイスのプローブ要求数が絶えず増加している場合は、そのデバイスが問題の潜在的原因と考えられます。プローブ要求数が増えているデバイスが多数ある場合は、より高度なソリューションが必要です。

接続された Wi-Fi デバイスは、よりおとなしい傾向があります。少なくとも、プローブ要求フレーム数に関してはそう言えます。ユーザーにゲスト Wi-Fi ネットワークに接続するように奨励する(さらに、簡単かつ素早く接続できるようにする)ことで、問題を軽減することができます。

おしゃべりなデバイスを分析するにあたって留意すべき重要なことは、ありとあらゆるプローブ要求をキャプチャすることは絶対に不可能であることです。どのチャンネルでプローブ要求が送信されるのかを正確に予測することも不可能です。AirMagnet がキャプチャしているチャンネルとは異なるチャンネルでプローブ要求フレームが送信されている場合、それらのプローブ要求フレームは見逃してしまいます。

接続されていないデバイスのおしゃべり度の分析は、不正確な科学なのです。異なるデバイスが異なる長さ、異なる規則性、そして異なるチャンネル・パターンでプローブ要求フレームを送信します。そんな難しさを伴いながらも、AirMagnet WiFi アナライザ PRO は、プローブ要求フレームが多い接続されていないデバイスに対して、問題の範囲がある程度わかる能力を Wi-Fi プロフェッショナルに与えてくれます。

 
 
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