ステップ・バイ・ステップ:RF インターフェースの問題への対処|NetScout

ステップ・バイ・ステップ:RF インターフェースの問題への対処

    目次
  • はじめに
  • ステップ 1:非 WiFi 干渉源の特定
  • ステップ 2:Wi-Fi 干渉デバイスの位置特定
  • ステップ 3:Wi-Fi 干渉デバイスの識別

はじめに

400 人の学生を収容できる講堂を想像してみてください。講堂は総スループット 5 Gbps でテスト済みです。学生 1 人あたり 2 台半のデバイスを使用していたとしても、十分過ぎるスループットになります。概算でデバイスあたり 5 Mbps 以上です。

では、次は講堂に学生がいて、Wi-Fi のパフォーマンスが悪いことを想像してください。「遅い」と、皆が口々に言います。コントローラーをちら見すると、講堂内のアクセスポイントの総スループットが 100 Mbps 未満になっています。どうすればこのようなことが可能なのでしょうか?5 Gbps があっという間に 100 Mbps になった理由は何でしょうか?

その答えは、干渉です。テスト済みの無線ネットワークが期待どおりに機能しないというありがちな問題の一般的な原因は干渉です。

まず、干渉が Wi-Fi 問題の原因となることを理解する必要があります。その第一のステップは、簡単です。しかし、詳細が必要になってくると、厄介になります。次のような、難しい質問に答えなければなりません。干渉の原因は何でしょうか。干渉を避けることはできるのでしょうか。今ある干渉の問題を解決しても、他に新しい問題が発生するのでしょうか。このペーパーでは、これらの質問への回答が得られます。

AirMagnet WiFi アナライザー(「WiFi アナライザー」)と AirMagnet スペクトラム XT(「スペクトラム XT」)は、干渉問題の原因を突き止められるすばらしいツールです。スペクトラム XT は、スペクトラム・アナライザーです。スペクトラム・アナライザーは、無線周波情報をキャプチャーし、Wi-Fi と非 Wi-Fi のすべての送信機を識別、分析、位置特定できるようにします。AirMagnet は、ネットワーク・アナライザーです。ネットワーク・アナライザーは、802.11/Wi-Fi 送信しかキャプチャーしないものの、Wi-Fi 送信の性質についてより詳細な情報を提供してくれます。送信機、受信機、データ速度、再送ステータス(無線衝突が生じたかどうか特定するのに使用)など、ネットワーク・アナライザーが提供する情報は、Wi-Fi の混雑による干渉が発生した時に不可欠になります。

スペクトラム XT と WiFi アナライザーを一緒に使うことで、講堂内のほか、医療、小売、製造などその他の多数の困難な Wi-Fi 環境における干渉源を突き止め、Wi-Fi 担当者を干渉問題の解決に導くことができます。

本書では、スペクトラム XT と WiFi アナライザーを使用して干渉問題を特定および解決するためのステップ・バイ・ステップのガイドを提供します。


ステップ 1:非 WiFi 干渉源の特定

まずは、Wi-Fi を使用できなくなくさせる非 Wi-Fi 干渉デバイスを分析することから始めます。例えば、病院に DECT 電話システム(非 Wi-Fi テクノロジー)があったりすると、2.4 GHz 周波数帯全体にわたって Wi-Fi の電波干渉を引き起こす可能性があります。(最新バージョンの DECT では、2.4 GHz 帯とは異なる周波数が使用されていますが、古い DECT システムでは、依然として問題が生じる可能性があります。)それは、DECT 電話は電波を分け合わないためです。DECT 電話は、電波を使いたければ、他の無線機器を気にすることなく、電波を使います。これは、Bluetooth や ZigBee などの他の無線技術でも共通することで、電波を分け合いません。

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コードレス電話

Wi-Fi 干渉デバイスは、802.11 コンテンションを使用するため、非 Wi-Fi 干渉デバイス程害を及ぼしません。802.11 コンテンションにより、デバイスは送信を行う前に、チャネルをリッスンし、使用されていないことを確認します。この確認とリッスンを行うことで、Wi-Fi デバイスはチャンネルを共有(分け合う)ようになります。ほとんどの場合、非 Wi-Fi デバイスはコンテンションを使用しないため、チャネルを共有しません。

では、非 Wi-Fi 干渉デバイスにどのように対処すればよいのでしょうか?最善の策は、それらを識別して場所を割り出し、その影響を評価して、それに基づき調整を行うことです。そこで役立つのが、スペクトラム XT です。


まず:識別する。スペクトラム XT のデフォルトの開始画面では、左下のエリアに干渉デバイスの一覧が表示されます。より詳細な情報(干渉デバイスが使用しているチャネル、干渉デバイスからの受信信号強度(RSSI)など)は、スペクトラム XT の下のペインで Spectrum Graphs(スペクトラム・グラフ)-> Interferers(干渉ソース)を選択することで表示できます。同じ干渉デバイスの一覧とともに、より詳細な情報が表示されます。


ステップ 2:Wi-Fi 干渉デバイスの位置特定

非 Wi-Fi 干渉デバイスを識別したら、次にスペクトラム XT を使用してデバイスの場所を割り出します。スペクトラム XT の開始画面の左下のエリアに表示されるいずれかの干渉デバイスをダブルクリックすると、検出ツールが起動します。検出ツールで Start(開始)をクリックすると、干渉源の受信信号強度を示すメーターが表示されます。検出ツールを開始したら、スペクトラム XT を実行するデバイスを追跡デバイスとして持ち運びできます。

デバイスの位置を特定したら、そのロケーションのポリシーに基づいて対処できます。干渉デバイスを無効にすることが理想ですが、それが常に可能とは限りません。スペクトラム XT の「Affected Channels」(影響のあるチャネル)情報を使用し、環境内でオフにできる干渉デバイスに対して調整を行えます。

ここで、スペクトラム XT の仕事は終わります。スペクトラム XT には、他にも役立つグラフや機能を備えており、それらを試して見る価値がある時も訪れることでしょう。しかし、このペーパーでは、問題解決に重点をおいています。非 Wi-Fi 干渉デバイスを発見したら、次は Wi-Fi 問題の專門ツール、AirMagnet WiFi アナライザーの出番です。


ステップ 3:Wi-Fi 干渉デバイスの識別

非 Wi-Fi 干渉デバイスに対処したら、今度は近接する Wi-Fi デバイスを分析します。Wi-Fi アクティビティを適切に分析するにはネットワーク・アナライザーが必要ですが、WiFi アナライザーはただのネットワーク・アナライザーではありません。AirMagnet には、内蔵のデバイス・フィルター、自動チャネル調整、さまざまな方法で閲覧できる並べ替え可能な統計情報など、独自の機能が備わっています。手短に言えば、AirMagnet WiFi アナライザーは、近接する Wi-Fi デバイスからの干渉を迅速に分析できる最高のネットワーク・アナライザーと言えます。

WiFi アナライザーを使う前に、何を探すのか知る必要があります。Wi-Fi ベースの干渉によって生じる最も重要な問題は、チャネル時間の無駄使いです。チャネル時間は限られたものであるため、それを浪費することはパフォーマンスの低下につながります。ワイヤレス・チャンネル上のパケット数を増加:パケット・エラー数が少ないと、もっとパケット数を増やせる。チャネル上のデータ量(バイト)も増やせます。データレートが向上すれば、各デバイスがアクセスできるデータ量が増えます。しかし、1 秒は 1 秒なのです。失った時間は、たとえ 1 秒でも取り戻すことはできません。干渉問題を特定するのに WiFi アナライザーを使う際は、チャネル時間の無駄使いの分析に焦点を当てるべきです。

時間が失われる原因はいくつか考えられます。例えば、衝突があります。衝突が発生すると、データを再送する必要があるため、無線チャネルの時間が失われます。最初のデータ送信が、時間の無駄になることになります。遅い速度も、時間の無駄使いになります。データレートは、データを時間で割ることで計算されます。データレートが低ければ、同じデータ量を送信するのにより多くの時間がかかることを意味します。データ以外のトラフィックも、それが不要であれば、時間の浪費になります。

これら Wi-Fi の時間を無駄にする要因のトップ 3 すべてを、AirMagnet WiFi アナライザーで特定することができます。

まず:衝突。衝突は、Wi-Fi データ送信の失敗です。Wi-Fi 衝突は、WiFi アナライザーなどのネットワーク・アナライザーで Retry(再送)としてマークされたデータを探すことで特定できます。802.11 標準(Wi-Fi 規格)は、データが送信され、到着確認応答が戻らない場合(つまり、衝突が発生したことを意味する)、データを送信したデバイスまたは AP は、再送データを Retry としてマークする必要があることを規定しています。これは、データの再送率が、データ送信時の衝突発生率と同じであることを意味します。


WiFi アナライザーは、再送データを識別するだけでなく、Retry の統計情報を迅速かつ簡単に収集できます。チャネル全体の衝突発生率を確認するには、AirMagnet の CHANNEL(チャネル)画面に移動し、「Frames/Bytes」(フレーム数/バイト数)のラベルが付いた画面中央部分を開きます。


単一の AP に関連する衝突発生率を知りたい場合は、INFRASTRUCTURE(インフラストラクチャ)画面にアクセスします。Infrastructure(インフラストラクチャ)画面に移動したら、左側の一覧から AP をクリックし、右下の Stats(統計情報)ウィンドウの「Frames」(フレーム数)または「Frames/Bytes」(フレーム数/バイト数)を開きます。ステーションの Retry 統計情報は、同じ Stats(統計情報)ウィンドウから見れます。WiFi アナライザーでは、Infrastructure(インフラストラクチャ)画面の左側のメニューにあるステーションまたは AP をクリックするだけで、そのデバイスの統計情報を即座に表示できます。


衝突の統計情報を有効活用するには、「高い」と見なされる再送率がどの程度なのか知る必要があります。普通の Wi-Fi では 8%、困難な Wi-Fi(ユーザー密度が高い、モバイル機器が多い、非 Wi-Fi 干渉が多いなど)では 20% を目安とします。再送率がこれら数値を超えた場合、なぜこれだけ多くの再送が発生しているのか調査します。

時間を無駄にする 2 つめの原因は、低速なデータレート(「速度」とも呼ばれる)です。データレートは、再送率が表示される同じ場所で確認できます。違いは、使用されているデータレートを表示するには、Infrastructure(インフラストラクチャ)画面で AP またはステーション・デバイスをクリックした後に、「Speed」(速度」ツリーを展開する必要があることです。

低速なデータレートが修正できる問題であるか判断するには、時間と注意深い分析が必要です。デバイスや AP(特に 802.11n/ac デバイスと AP)は、たとえ干渉が大きくなくても、公表される最大速度よりもずっと遅いデータレートを使用します。つまり、802.11ac AP に接続された 802.11 ac スマートフォン(40MHz幅チャンネル上での最大レート:200Mbps)を持つ会社員は、RF 環境が良くても日常的に 150Mbps 以下のデータレートを使用している可能性があります。802.11ac(程度の差はあるが、802.11n も)には、企業での通常使用において滅多に使われることがない多くのテクノロジーが組み込まれています。したがって、干渉問題が存在するか確認するためのデータレートの分析には、多少経験が必要です。


Wi-Fi チャネルの時間が無駄に使われる 3 つめ(そして最後)の原因は、データ以外のトラフィックです。非データ・トラフィックに多くのタイプがありますが、そのほとんどが 802.11 の動作に必要なため、ここでは詳しく取り上げません。AP やステーションが接続を維持し、衝突を検知して、無線ネットワークを機能させるために必要なさまざまなことを行うために、数多くのタイプの非データ・トラフィックをやりとりする必要があります。

一方、次の 2 種類の非データ・トラフィックを低減できます:ビーコンとプローブ。ビーコンは、AP がステーションに Wi-Fi ネットワークが利用可能であることを知らせるために使われます。問題は、Wi-Fi ネットワークごとに独自のビーコンが必要になることです。2 つの SSID(1 つはゲスト用、1 つは社内用)が存在する場合、一般的にビーコンはチャネル上の 2% から 5% の時間を占有することになります。SSID の数が 8 つになった場合(ベンダーごと、あるいは社内ユーザーの異なるグループごとに、独自の SSID を用意する場合など)、ビーコンは 8% から 20% のチャネル時間を費やすことになります。これは大きな違いです。また、同じチャネルを複数の AP がカバーしている場合には、問題が増長します。ある社用タブレットからチャネル 11 で 3 つの AP が見え、それら AP が 8 つの SSID を使用している場合、チャネル上に 24 セットのビーコンが存在することになります。これは、データの代わりに、24% から 60% のチャネル時間がビーコンに使われることを意味します。

過剰なビーコン・トラフィックを特定する場所は、WiFi アナライザーの CHANNEL(チャネル)画面です。チャネル番号を選択すると、Channel(チャネル)画面の右下に AP と SSID の数が表示されます。この情報を利用して、データに使うチャネル時間がビーコンによって使われているかどうかを確認できます。


チャネル時間を無駄に使う非データ・フレームのもう一つのタイプは、プローブです。プロービングはステーションによって開始されます。つまり、プローブが問題を引き起こしているか確認するには、WiFi アナライザーの INFRASTRUCTURE(インフラストラクチャ)画面を見ます。画面左側のステーションをクリックし、右下の Stats(統計情報)ボックスを見ます。Stats(統計情報)ボックスで、「Frames」(フレーム数)または「Frames/Bytes」(フレーム数/バイト数」を展開して、次に「Mgmt frames」(管理フレーム数)を展開します。選択してステーションによって送信されたプローブ要求フレームの数が表示されます。プローブ数が増え続けている場合、そのデバイスはデータに使用できるチャネル時間をプローブに費やしている可能性があります。プロービングの問題がある場合は、問題のステーションに安定し Wi-Fi 接続があることを確認してみてください。最新の Wi-Fi デバイス(スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど)は、Wi-Fi 接続で安定したインターネット・アクセスがあれば、ほとんどプロービングを行いません。

Wi-Fi 干渉デバイスへの対処は、非 Wi-Fi 干渉デバイスの対処に似ていますが、大きな違いもあります。干渉デバイスを識別し、その場所を割り出すことから始めるのが最善の策です。Wi-Fi 干渉デバイスを識別し、その場所を特定したら、多くの場合、無線 LAN インフラを調整することで、問題を最小化または排除することができます。AP ラジオを無効にする、別の場所に新しい AP を追加する、AP チャネル番号を手動設定する、AP の送信出力をクライアント・デバイスのものに合わせるなどの方法で、AP とコントローラーのインフラストラクチャを改善することができます。その一方で、非 Wi-Fi 干渉デバイスは、Wi-Fi を再び機能させるために、無効にしたり、使用しないようにするなどの対応が必要になります。


AirMagnet スペクトラム XT と AirMagnet WiFi アナライザーを用いたこれらの手順に従うことで、Wi-Fi 干渉が長引く問題に発展しないようにする可能性を高められます。スペクトラム・アナライザーとネットワーク・アナライザーを使うには多少の慣れが必要ですが、試行錯誤でトラブルシューティングを行うよりも確実に良いです。これらのツールに一度慣れ始めたら、これまで難しかった干渉問題がどれだけ速く特定・解決できるか驚かれることでしょう。

 
 
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