ホワイトペーパー:802.11ac サーベイ|enterprise.netscout.com

ホワイトペーパー:802.11ac サーベイ

ギガビット WiFi の到来。
802.11ac が最適化され、適切に導入されてこそ、大いなる期待と壮大な約束が待っています。


802.11ac は WiFi インフラに対する要求の高まりに乗じて開発されたものであり、対応製品が続々と市場に出回り始めています。BYOD の爆発的な普及により、ネットワーク環境に接続するユーザー一人あたりのデバイス数が増えただけでなく、音声、高画質ビデオをはじめ、Microsoft Lync、FaceTime、WebEx など、上りも下りも帯域幅を大量に消費するアプリケーションといった新たな使用方法も誕生しています。

これらの大容量かつ低遅延が求められるアプリケーションは、それらにアクセスするユーザーあたりのデバイス数が増えていることで、より複雑化しています。シスコ・システムズ社が実施した調査では、2015 年までに、この数が 3.5 台に上ると予想されています。WiFi に新たなる負荷を与えるのは、これら移動性の高いデバイスに限りません。無線ネットワークへのノートパソコンの接続、使用、およびアプリケーション・スループットは、着実に増大しています。キャリアは、顧客にラストマイルを提供するために、WiFi を採用し始めています。これらトレンドにより、IT 部門はかつてないほどの信号品質、受信範囲、および双方向帯域幅を提供せざるを得なくなっています。

これら需要に対応するため、IEEE は無線の発明以降、無線通信の最大の進化ともいえる 802.11ac 規格に取り組み、発表することとなりました。802.11ac を環境内に無事に導入するためには、単にいくつかの新しい AP を購入し、ネットワークに接続して、無線クライアントを購入するだけでは済みません。期待される受信範囲とデータ速度の向上を実現するには、802.11a/b/g/n と比べ、802.11ac がどのように機能し、この新技術に移行するためのベストプラクティスを明確に理解することが必要になります。

  • 目次
  • はじめに
  • 計画およびサイト評価
  • 展開および検証
  • トラブルシューティングおよび最適化

はじめに

WiFi 技術の向上 – 802.11ac

私たちが慣れ親しむ無線規格には、高帯域アプリケーションの配信を困難にするいくつかの制約があります。下表に示す通り、802.11n の PHY レートは最大でも 600Mbps で、ユーザーの実スループットは 200Mbps 程度しかありません。このデータ速度は、接続クライアント数が 1 台または 2 台に限定される理想的な環境でしか実現できません。クライアントが 802.11n の帯域を共有する実際の WiFi ハイブリッド環境では、スループットが 10Mbs 以下にまで低下するため、現在あるいは将来のユーザー需要に対応することはできません。

構成ごとの PHY データレート

802.11ac には後方互換性があるため、既存の 802.11a/n 環境にシームレスに移行することも可能です。5GHz 帯でのみ動作し、1Gbps を超えるデータ速度にも対応しています。802.11ac が使用する 5GHz 帯は、2.4GHz 帯よりも競合や干渉が少なく、より多くのチャネル数を提供しているため、より高速なスループットを可能にします。802.11ac は、2 つのフェーズを経て市場に登場します。第 1 フェーズは最大 1.3Gbps、第 2 フェーズは最大 6.9Gbps の PHY レートが実現されます。現在のフェーズ 1 における測定されたユーザー速度は、最大 800Mbps に達し、HD/UHD ビデオなどの高ビットレート・アプリケーションを WiFi 経由で複数のユーザーに同時配信することが可能です。この高いパフォーマンス水準により、従来の技術との後方互換性を維持しながら、より多くのユーザー、デバイス、および帯域を環境全体でサポートすることが可能になります。

既存の 802.11a/n ハードウェアを 802.11ac にアップグレードすることはできないため、802.11ac が提供する高速データレートを達成するためには、新しいハードウェアが必要になります。

802.11n と同様に、大容量通信をサポートするため、 802.11ac は MIMO(マルチ入力/マルチ出力)のアンテナ・スキームと複数の空間ストリームを用います。最大 8x8 本のアンテナ・スキームが可能なものの、802.11n のように、初期展開のほとんどは、3x3 本のアンテナを使用することが予想されます。802.11ac の場合、4 つの 20MHz チャネルを 80MHz チャネルに束ねることで、高速データ速度を実現します。これは、チャネル幅が広いほど、ビッド伝送できるサブキャリア数が増え、その結果より高速なスループットが可能になるたです。より幅広いチャネルを使用することの代償は、チャネルボンディングできるチャネル数が少なくなり、5GHz 帯で利用できる 80MHz チャネルが 5 つに減ることです。DFS チャネルを避ける場合、このうち 2 つのチャネルしか使えません。2 つのチャネルしか利用できないと、オーバーラップが少ないシームレスなカバレッジは不可能に思われるかもしれません。しかし、同一チャネル干渉が生じた時に、同じ 80MHz チャネルに設定される 2 つの隣接する AP を 40MHz または 20MHz に戻せる能力が、802.11ac 技術に組み込まれています。
 

2014 年から始まるフェーズ 2 の展開では、160MHz チャネルが登場し、ユーザー・スループットを最大 6.9Gbps に高める潜在能力を有します。これは、基礎から正しく構築すれば、802.11ac が何をもたらすか示してくれます。


802.11ac 展開のベストプラクティス

802.11ac を展開するにあたって、その根底にある技術に対する理解を深めることが重要になります。802.11ac がもたらす多くのメリットにかかわらず、WiFi 以外の干渉、同一チャネル干渉、信号強度の弱さ、ノイズ、遅いレガシー・クライアントとのチャネル共有など、あらゆる WiFi 環境のパフォーマンスを低下させるいつもの要因に影響を受けやすいという問題が残ります。これらの課題は、この画期的な技術を導入するにあたって、しっかりした計画を整えてはじめて、うまく対応することができます。単に少数の 802.11ac AP を購入してネットワークに配備し、ユーザーに接続させるといった衝動を抑えなければなりません。

 

  1. 綿密な計画およびサイト評価
  2. 検証および設置
  3. トラブルシューティングおよび最適化

 

各ステージでの検討事項とベストプラクティスのほか、最大の帯域幅と最高の信号品質を達成するための推奨案をご紹介します。


計画およびサイト評価
 

802.11ac が、既存の 802.11a/b/g/n システムに導入されるものと仮定します。802.11ac は 5GHz 帯を使用する 802.11a/n と後方互換性があるため、これら古い AP を完全に撤去する必要はありません。一方で、パフォーマンス目標を達成するためには、すでにどのデバイスが電波を奪い合っているか、また 802.11ac がどのようにネットワーク環境を補完できるか理解することが重要です。計画段階では、既存のデバイス構成、ノイズ・レベル、干渉源、受信範囲、帯域幅を確認するため、展開前の調査を実施します。


初回の実地調査

802.11ac 機器を購入・設置する前に、あるいはレガシー AP を撤去する前に、WiFi 環境の現状を把握します。5GHz 帯の干渉源、受信範囲、利用可能なチャネルに加え、設置されている 802.11a/n デバイスすべての現在の構成を特定します。その次に、1 台のの 802.11ac AP を展開して有効にし、AP-On-A-Stick サーベイを実施して、受信範囲とスループットに注目しながら効果を確認します。

 

例えば、特定の場所で、最大 15 台のデバイス(1 人あたり 3 台)を接続する 5 ユーザーがいると仮定し、音声、ビデオ、または Web サービスを必要とするユーザーによっては、30Mbps ほどの帯域幅が必要になると推定できます。これは当然、使用されるアプリケーションや同時接続するユーザー数によって異なります。余裕のあるユーザー密度にするためには、AP あたりのアクティブなデバイス数を、20 台未満に抑えるのが一般的です。

 


チャネル割り当ての検討事項

802.11ac では、5GHz帯の 4 つの 20MHz チャネルを束ねて 80MHz チャネルを利用できます。各 AP は単一の 20MHz プライマリ・チャネルとして設定され、例えばチャネル 36 が、ビーコンおよびフォールバック・チャネルとして機能します。レガシーの無線機器が AP に接続する場合、この 20MHz プライマリ・チャネルを使用して接続し、動作させます。ただし、この単一チャネルは束ねられる 80MHz チャネルに含まれるため、20MHz チャネルを使用している間は、802.11ac の純クライアントは AP と通信できなくなります。

802.11ac の AP を配置する際のベストプラクティスは、AP が重ならないようにするため、2 つから 5 つの 80MHz チャネルの間に設定することです。例えば、1 つの AP を 36-48 を束ねたチャネルに、もう 1 つの AP を 52-64 を束ねたチャネルに設定します。特定のエリアで、これらのチャネルをオーバーラップさせる必要がでた場合は、AP にそれぞれ異なるプライマリ・チャネルの 36、44、52、および 60 を設定します。これにより、同一チャネル干渉を生じさせることなく、20MHz チャネルに接続する必要があるレガシー機器をサポートするための十分な間隔を確保することができます。


展開および検証
 

必要な帯域幅と受信範囲を入念に決定したら、設計計画に従って 802.11ac AP を設定し、配置します。これは、古い AP を単純に撤去し、同じ場所に新しい 802.11ac AP を接続することを意味するものではありません。AP の設定および設置場所を計画するにあたって、考慮すべき点がいくつかあります。

 

 

 

ユーザー要件を計算したら、物理的に AP を配置する前に、AirMagnet プランナーを使用して仮想 WiFi 環境を構築できます。AP の数とレイアウトのシミュレーションを行い、壁の素材や干渉源も考慮しながら、環境内の受信範囲や帯域が十分か確認できます。そしてこのデータを使用して、予定される場所に AP を物理的に配置できます。

期待する受信範囲と帯域を提供していることを確認するためには、展開後の検証が重要になります。これらを検証するには、ユーザー・スループットを測定するアクティブ・サーベイに加え、信号、ノイズ、干渉、チャネルのオーバーラップ、WLAN 環境全体の重要なパラメータを測定するパッシブ・サーベイの実施が推奨されます。アクティブ・サーベイには、802.11ac ツールを使用して上りと下りのスループット測定を含めます。このテストは、通常のパラメータがすべて整うように、トラフィック量のピーク時間に実施します。

アクティブ・サーベイには、AirMagnet サーベイ Pro の iPerf サーベイ機能を使用できます。この機能は、環境内の実ユーザー・スループットを測定してそれをマッピングし、スループットが低いエリアを視覚化します。パッシブ/アクティブ・サーベイを同時に実行するマルチアダプタ・サーベイの使用が推奨されます。これにより、1 回で必要なデータ・ポイントを測定できます。

トラブルシューティングおよび最適化
 

ユーザー・スループット要件で満たされないものがあれば、パフォーマンス目標を達成できるように調整を行います。AirMagnet サーベイ Pro には、環境内のパフォーマンス低下の一因を特定するために使用できる AirWise ポリシー・チェック機能が備えられています。目標を達成するために、適切な場所で適切な調整をできるように支援する案内付きワークフローが提供されています。

調整には、AP の設置場所の変更、AP の追加配置、チャネル・プランの調整、干渉源の排除、セル・サイズに影響を及ぼす送信電力の調整などが含まれます。AirWise が推奨する調整を行った後は、別のアクティブ/パッシブのマルチアダプタを使用して、目標とするパフォーマンスを達成しているかを検証します。

そして最後に、サーベイ Pro の IPerf 機能を使用してサーベイを再実施し、ユーザーのニーズを満たすようにネットワークが構築されたかどうかを検査します。

 
 
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